差出人は広島で教えた生徒でした。
何やら国語の時間に手紙文の書き方を習ったらしく、自分に送ってきてくれたのでした。
彼が迷わず僕を選んでくれたのか、迷いに迷って選んだのかは分かりませんが、手紙をもらうということは、とても嬉しいですね。
彼はというと、現在中級部1年生で僕が4年生の時に担任をしたときの、委員長でした。
またサッカーでは、サンフレッチェ広島のジュニアユースに所属し、中心選手として頑張っています。
そんな彼がこんな僕に、感謝の手紙を送ってきてくれたので、とても驚き、又、感慨に浸っています。
彼にはきつくあたったことが多かったのです。3,4年生の時はそうでもなかったのですが、5年生になってチームの中心になるにつれ、要求も高まり、とてもいやな思いもしたことでしょう。僕が彼に口癖のように言った言葉があります。それは「きれるな!」という事でした。彼は試合に集中するあまり、周りが見えなくなったり、チーム内や相手にすぐきれてしまう傾向がありました。そうなったら最後、プレーも適当になり、チームの足を引っ張ることが多かったのです。
そんな彼が、僕が岡山にきて一年目の中四国九州大会の決勝戦の前に、こんな事を言ったのを強烈に覚えています。
「ソンセンニム。僕もうきれなくなりました。去年まではソンセンニムの言ってることが理解できなかったけど、6年になって、周りの人たちが同じような事を言っていることに気づき、自分の気持ちを落ち着かせることが出来るようになりました。」
元々周りの子に比べ、心身共に大人のようでしたが、この時ほど彼がまぶしく思ったことはありませんでした。
*決勝戦に彼をきれさせようと徹底マークさせましたが、実際いたって冷静で、策略は見事に失敗しました。
もう一つ彼のエピソードとして忘れられない出来事があります。
これもまた中四国九州大会での出来事ですが、彼が5年生の時、僕にとって広島での最後の中四国九州大会での話です。
予選で岡山・四国と対戦したのですが、執拗なマークにあい相手にファールされた時、小指を骨折してしまいました。しかし彼は痛そうにせず、最後まで試合に出たのでした。試合終了後彼は僕に「多分折れてます。」と指を見せてくれました。
もちろん病院に直行。彼の今大会は終わったと思いました。しかし彼は病院でギブスをしてもらい、次の試合もでたのでした。もちろん二日目も全試合出場し、彼の活躍のおかげで見事大会3連覇を成し遂げることが出来たのでした。
そんな彼が「6年生の時僕らの監督を出来なかったので、中3になったときには、必ず広島中級部の監督をしてください。」と書いてきたのです。
とても嬉しい一言ですね。
彼の突然の手紙にとてつもない力をもらいました。
これだからやめられない。
彼以上にもっと素晴らしい選手、素晴らしい人間を育てられるよう、日々精進していきます。
許正英
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